古河電気工業株式会社/黒田 和輝さん

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エンジニア

現場とお客様の声から支え続ける
ものづくりの生産技術への挑戦

古河電気工業株式会社

情報コンポーネント領域 AT・機能樹脂事業部門
AT製造部 平塚生産技術課 (※AT:半導体製造用テープ)

黒田 和輝

理工学部(旧:工学部/知識工学部) 機械システム工学科 卒業

東京都市大学で機械システム工学を学び、現在は古河電気工業株式会社の生産技術者として半導体産業の最前線を支える黒田さん。
実家の家業という身近な環境から始まった「ものづくり」への情熱が、大学での学びを経てどのように仕事につながっているのか、
詳しくお話を伺いました。

ものづくりの原体験から東京都市大学へ

私のものづくりに対する興味の原点は、東京の江戸川という土地に根差した実家の環境にあります。幼い頃から家業を通じて、何かが作られていく過程が常に身近にありました。機械がどのような仕組みで動いているのか、その裏側にあるロジックを知りたいという知的好奇心や、いつか自分自身の手で何かを設計し、動かしてみたいという情熱は、成長とともに自然と私の中に根付いていきました。進路を考える際、そうした想いを総合的に学べる場として「機械工学」の道を選びました。

大学選択の際、私は「四工大」と呼ばれる理工系大学の文化祭やオープンキャンパスに積極的に足を運びました。その中で、東京都市大学は他の大学と比べても雰囲気が非常に明るく、直感的に「ここなら楽しく学べそうだ」と感じたのです。特に印象に残っているのは、当時興味を持っていたロボットに直接触れることができたオープンキャンパスの催し物です。大学という場所が、実際に手を動かし、未知の技術に触れられる場所であることを肌で感じたその時のワクワク感が、私の入学を決める決定打となりました。

学生時代の黒田さん

学問への没頭と、
未知の現象を解明する論理的思考の習得

大学に入学した当初はロボット工学に強い関心を寄せていましたが、専門的な講義や実験を重ねるうちに、私の興味は次第に「熱流体」という分野へと移っていきました。普段、私たちが街中で見かける車の動きや、目に見えない空気や水の流れの中に、どのような熱の変化が起き、どのような法則が隠されているのか。そうした現象を数式や理論で解明することに面白さを感じました。

研究室では、半導体ウエハの洗浄などに使われる「スピンコート」という装置をテーマに選びました。遠心力を使って薄い膜を成形する際、その内部で一体どのような現象が起きているのかを突き詰める研究です。正直に言えば、この研究内容そのものが現在の私の業務に直接結びついているわけではありません。しかし、そこで複雑な実験データと向き合い、「なぜこの現象が起きているのか」という問いに対し、仮説を立て、一つずつ事実を整理して論理的に答えを導き出すプロセスは大きな学びとなっています。

古河電工との運命的な出会いと、
心を動かした「5分後の電話」

就職活動において、私が軸に据えていたのは「地に足のついたものづくり」に携わることでした。昨今はITやシステム開発が注目を集めていますが、私は形のある「物」を自らの手で生み出すメーカーで働きたいという強い想いがありました。その中でも、開発の成果を実際の製品として形にする現場に最も近い「生産技術」という職種を志望していました。多くの企業を検討する中で、社会のインフラを支える高い技術力を持ち、多様な事業を展開する古河電工に強く惹かれていきました。

入社を決めた最大のきっかけは、最終面接を終えた5分後に、人事担当者の方から合格の連絡をいただいたことです。他社からの内定もいただいていましたが、この一人ひとりの学生を大切にするスピード感と誠実さに心を打たれ、私はその場で古河電工への入社を即決しました。140年以上の歴史を誇りながら、こうした柔軟さと温かさを併せ持つ会社であることが、私にとって大きな安心感となりました。

半導体産業を支える「後工程」の
生産技術としての使命

現在、私はAT(半導体製造用テープ)製造部平塚生産技術課に所属し、半導体製造用テープの製造に携わっています。このテープは、半導体ウエハを薄く削ったり、チップ状に裁断したりする際に、繊細なウエハを傷つけないよう保護するために欠かせない高度な製品です。私はその製造工程の中でも、製品に欠点がないかを確認する「外観検査」や、お客様の使い勝手に合わせた追加加工を行う「後工程」を担当しています。

生産技術職の役割を一言で表すなら、製造現場と他のあらゆる部門を繋ぐ「架け橋」です。開発が練り上げた新技術をいかに効率よく安定的に量産するか、品質保証が求める基準をどうクリアするか、そして営業が持ち帰ってきたお客様の要望をどう形にするか。それら全ての中心に立ち、現場の作業者の方々と協力しながら、製品を安定して生産できる仕組みを構築することが私の仕事です。自分一人の知識で完結させるのではなく、多様な専門性を持つ周囲を巻き込み、一つのチームとして課題解決に取り組むことを常に心がけています。

理論を量産現場へ落とし込む醍醐味

この仕事の醍醐味は、自分が導き出した対策が、実際の量産現場で「結果」として目に見える瞬間にあります。大学の研究室とは異なり、工場の現場では机上の計算だけでは説明できない複雑な要因が絡み合います。不具合が発生した際、粘り強く現場を観察し、データを分析し、原因を特定して対策を打つ。その結果として、歩留まり(良品率)が劇的に向上したり、生産ラインがスムーズに動き出したりした時に大きな達成感があります。

特に私が担当する「後工程」は、製品が出荷される直前の最終段階であり、お客様のフィードバックがダイレクトに届くポジションです。最近では、お客様と密に連携しながら製品改善に取り組んだプロジェクトにおいて、大きな成果を上げることができました。お客様の困りごとを技術の力で解決し、「ありがとう」という言葉をいただけた時、自分が社会を支える半導体産業の重要な一部を担っているのだと強く実感します。古河電工には、若手の挑戦を後押しし、自由に分析や提案をさせてくれる風土があります。上司や先輩に率直に意見を言えるこの環境が、私の成長を支えてくれています。

興味の変遷を恐れずに今を積み重ねる大切さ

これから進路を考え、自分の将来に悩んでいる高校生や大学生の皆さん。今の時点でやりたいことが明確に決まっていなくても、決して焦る必要はありません。私自身の歩みを振り返っても、興味の対象はロボットから熱流体、そして現在の半導体分野へと、環境や学びに合わせて変化し続けてきました。大切なのは、その時々で自分が「面白い」と感じたことに対して、逃げずに誠実に向き合い、全力で学び続けることです。

大学で学んだことが、将来そのまま仕事に直結するとは限りません。しかし、そこで培った「考え抜く力」や「物事の筋道を立てる力」は、どんな分野に進んでもあなたを助けてくれる一生の武器になります。ものづくりの世界は、派手な舞台ばかりではありませんが、社会を支える不可欠なインフラを作り上げるという誇りと、尽きることのない探求心に満ちた場所です。古河電工という、人を大切にし、技術で未来を切り拓く場所で、いつか皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています。