022
経営管理
経営を動かす数字に体温を宿す
主体的な行動力を生かしてより高みへ
株式会社オカムラ
経営企画部
木田 翼
情報工学部(旧:知識工学部) 知能情報工学科(旧:経営システム工学科) 卒業
東京都市大学で経営システム工学を学び、現在は株式会社オカムラの経営企画部において、管理会計の業務を通じて経営の意思決定を支える木田さん。
メーカー勤務の父への憧れという身近なきっかけから始まったキャリアが、大学での学びや生産管理の現場を経て
どのように今の仕事につながっているのか、詳しくお話を伺いました。
社会で求められる力を学ぶ選択
私は高校時代から「将来的に企業に就職して社会に貢献したい」という思いがありました。大学は社会で必要な知識を学べる環境がよいと考え、就職率の高さを一つの指標として大学選びをしました。東京都市大学の就職実績を見たとき、「この大学なら社会と、そして企業と密接に繋がっている」と強く感じたことを覚えています。経済学部出身だった父の影響もあり、理系の知識を活かしながら経済や経営といった「社会の仕組み」を学べる分野に惹かれて、経営システム工学科(現:知能情報工学科)へ進学を決めました。
入学後は自由度の高さに戸惑うこともありましたが、周囲の友人たちも私と同じように「将来の就職」を見据えた高い志を持っていたため、切磋琢磨しながら授業に臨むことができました。授業では、経済学や経営学はもちろん、人間工学、生産管理、さらにはプログラミングやAIの基礎まで、驚くほど幅広い領域を学ぶことができ、「社会に役立つ知識」を多角的に吸収できる環境に恵まれました。
二つの経験で主体性と行動力を培う
大学4年間で自分を大きく成長させてくれた経験が二つあります。まず、中学・高校から続けてきたソフトテニスを大学でも継続するにあたり入った部活動での経験です。サークルで楽しく遊ぶという選択肢もありましたが、あえて厳しい部活動の世界に身を置き、監督やコーチから与えられたメニューをこなすのではなく、「どうすればチームとして勝てるのか」を自分たちで一から考える経験を積み重ねました。主体性が求められる環境でテニスをやり抜いたことは、今の仕事で「自ら学ぶ姿勢」を保つための大きな土台となっています。
もう一つの大きな転機は、東京都市大学の留学プログラム「TAP(東京都市大学オーストラリアプログラム)」を利用して、4ヶ月間オーストラリアのパースへ留学したことです。エディス・コーワン大学(通称:ECU)で、世界140カ国から集まる留学生たちと机を並べる日々は、私の価値観を根底から覆してくれました。言葉が通じない、文化が違う。そのような正解のない環境で身についたのが、「とりあえずやってみる精神」です。わからないことがあっても、まずは相手に話しかけてみる、まずは動いてみる。この経験があるからこそ、社会人になって直面する数々の困難に対しても、「まずは行動してみよう」と前向きに捉えることができています。
メーカーという「形あるもの」の世界
就職活動を意識し始めたのは、大学3年生の冬頃でした。当時は具体的に「この会社に入りたい」という明確な志望先があったわけではありません。ただ、大学内で開催された企業研究会に参加した際、たまたまブースを訪れたのが株式会社オカムラでした。そこで出会った人事部の方が、学生である私に対して非常に気さくで温かく接してくださり、その人柄に惹かれて「この会社をもっと知りたい」と思うようになったのがきっかけです。また、メーカー勤務だった父への憧れもあり、自分が関わったものが目に見える形で世に出る「ものづくり」の世界には、強い魅力を感じていました。
オカムラへの理解を深める機会となったのは、1週間にわたる工場の長期インターンシップでした。実は、工場で働く方々に対して「職人気質で少し怖そう」という勝手なイメージを抱いていたのですが、実際に現場へ飛び込んでみると驚くほど優しく、熱意を持った方々ばかりでした。生産の最前線で働く人々の温かさに触れ、「こういう人たちと一緒に働きたい」と心から思えたことが入社への決定打となりました。
工場の生産管理から経営の中枢へ
入社後、最初に配属されたのは生産管理の部署でした。インターンの経験から工場勤務を希望していましたが、実際は営業からの数字をもとに需要予測を行い、在庫管理をしながら工場へ指示を出す役割を担いました。当初思い描いていた現場仕事との違いに戸惑いもありましたが、今振り返れば、この時期にオカムラの多種多様な製品知識を吸収し、会社全体の需要と供給の動きを把握できたことが大きな財産になっています。
そして入社7年目となる現在、私は経営企画部という、会社の中枢を担う部署に身を置いています。これまでの現場に近い視点とは打って変わり、現在は「管理会計」を通じて会社全体の売上や利益を定量的に分析することが主な任務です。各部署の数値を集約し、現在の経営状況を冷静に分析した上で、最終的には役員の意思決定をサポートするための資料を作成します。視座の高い上司や先輩に囲まれ、日々プレッシャーを感じながらも、会社の行く末を左右するような重要な議論の材料を作る仕事に、身が引き締まる思いです。生産管理で培った「現場感覚」と、経営企画で求められる「大局的な視点」の二つが自分の中で繋がり始めていることを実感しています。
数字の向こう側にいる「人」を動かす
経営企画部での仕事は、一見するとデスクでの数字分析が中心に見えますが、実はその本質は「コミュニケーション」にあります。私たちの部署は、全社的な課題を抽出し、時には厳しいことも言わなければならない立場です。だからこそ、相手を否定せず、いかに気持ちよく動いてもらうかが重要になります。ここで活きているのが、大学時代のテニス部や留学で培った対人能力です。相手の性格や立場を尊重し、信頼関係を築くこと。「協力なしには何も進められない」という意識を強く持ちながら、円滑に物事を進めるための調整に心血を注いでいます。
また、変化の激しい現代において、スピード感は不可欠です。そこで私を支えているのが、留学で身についた「とりあえずやってみる精神」です。高度な知識や経験が求められる場面でも、立ち止まって悩むのではなく、まずは仮説を立てて動いてみる。役員の時間を無駄にしないよう、迅速に資料を整え、必要があれば泥臭く他部署へ足を運ぶ。かつて経営システム工学科で学んだ生産管理や統計の基礎が、現在の分析業務の土台を支えていることも、今になって改めて痛感しています。
自由な時間に幅広い挑戦を
経営企画という仕事の最大の醍醐味は、その影響力の大きさにあります。自分が直接製品を売るわけではありませんが、中期経営計画などの策定に関わることを通じて、会社が良くなっていくプロセスに深く関与できる。その責任の重さは、そのまま仕事のやりがいに繋がっています。
最後に、これから進路を選ぶ高校生や、今を生きる大学生の皆さんに伝えたいことがあります。社会に出てから気づいたのは、「学生時代の自由な時間は、想像以上に価値がある」ということです。やりたいことが明確でなくても構いません。勉強、部活、アルバイト、遊び。何か一つのことに10の力を注ぐのも素晴らしいですが、私は「いろいろなことに少しずつ手を出して、足して10にする」という生き方も大切だと思っています。私自身、テニスや留学、そして大学での学びが、全く異なる場面で今の自分を支えてくれています。何が将来に繋がるかは、その時にはわかりません。だからこそ、少しでも興味が湧いたなら、躊躇せずに手を伸ばしてほしい。その「一歩」が、いつか皆さんの道を大きく広げてくれるはずです。東京都市大学という社会に近い学びの場で、ぜひ自分だけの経験を積み重ねてください。
- 取材協力:株式会社オカムラ
- 関連リンク:情報工学部 知能情報工学科
