東京ガスネットワーク株式会社/近内 祐香さん

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施工管理

自然科学科で理学を広く学び
暮らしの“当たり前”を支える仕事へ

東京ガスネットワーク株式会社

神奈川事業部 神奈川導管ネットワークセンター
第1工事グループ

近内 祐香

理工学部(旧:工学部/知識工学部) 自然科学科 卒業

東京ガスネットワークで、都市ガスの安定供給を支えるガス工事の管理に奔走する近内さん。
キャリアの原点は、幼少期に出会った学芸員の方との交流にありました。
理学の道からあえてインフラ業界を選んだ理由や、仕事を通じて感じる醍醐味、そして未来を担う学生たちへのメッセージを伺いました。

学芸員の方との出会いから理学の道へ

私が理系の道に進んで今の仕事についた原点には、学芸員の方の存在があります。小学生の頃、社会科見学で博物館を訪問して学芸員の方のお話を聞く機会がありました。自宅の近隣に博物館がある環境にも恵まれてそこから興味を持ち、中学の社会科実習でも希望を出したところ選抜に通過して、同じ博物館を訪問できることになりました。担当いただいた学芸員の方はプラネタリウム運営など物理分野に携わる方で、博物館のバックヤードを見学するという貴重な経験をさせていただきました。さらに印象的だったのは、文理選択や高校選びに悩んでいた私の「将来どう進んでいこうか全然決まっていない」という話を聞いて、真摯に相談に乗ってくださったことです。それが理系や学芸員っていいなと思うきっかけとなりました。

高校では理系を専攻し、とくに物理や化学が好きで学びを深めたい思いが強まりました。大学選びで東京都市大学の自然科学科を志望したのは、理系としての専門的な学びを深めながら、卒業と同時に学芸員の資格を取得できるという履修カリキュラムに大きな魅力を感じたためです。

学生時代の近内さん(左)。友人とのスナップショット。

フィールドワークの学びが自分を磨いてくれた

大学生活を振り返って一番に思い出すのは、教室での講義以上に、泥にまみれて取り組んだ数々の実習です。自然科学科では物理、化学、生物、地学と、理学の全般を網羅するように幅広く学びました。山奥へ植物の採取に行き遺伝子学の基礎を学んだり、地学の実習で地層を調べたりと、常に自然と向き合う日々でした。

なかでも最も記憶に刻まれているのは、萩谷宏先生のもとで取り組んだ三浦海岸での地学実習です。二日間かけて、自らの手でひたすら穴を掘り続け、化石を見つけ出すという過酷ながらもエキサイティングな内容でした。穴を掘る道具を手に、自分の力だけで地層を削り、目的のものを見つけ出すまで決して諦めない。この実習はチームプレイではなく、一人ひとりが自分自身と向き合い、着実にタスクをこなしていく個人プレイの側面が強いものでした。仕事でも現場で穴を掘る光景を日常的に目にするため、あの時、三浦海岸で必死に穴を掘った経験を思い出します。いまもチーム制というよりは個人で動く業務なので、限られた時間の中で目標を達成するために自分なりに工夫し、着実に進めていくスケジュール管理能力やスピード感、困難に立ち向かう忍耐力は、この時に養われたと感じています。

当たり前のような物事を身近に

大学で学芸員の資格を取得したものの、その道は非常に狭き門であることを理解していました。学芸員のポジションは募集がない限り就職ができず、募集の数も非常に少ないのが現実です。そこで私は、早い段階から一般企業への就職も視野に入れていました。自分が仕事に何を求めるのかを深く考えたとき、浮かんできたのは「当たり前のような物事を常に身近に感じられる仕事なら、やりがいをもって続けられるのではないか」という思いでした。

インフラ業界を選んだのは、生活の身近にあり毎日触れるものであるためです。自分の専攻である化学の知識を少しでも活かすことができ、大学時代の実習で培った体力やコミュニケーション能力を存分に発揮できる場所として真っ先に思いついたのが「ガス」というエネルギー分野でした。幸いなことに、私の実家でもずっと東京ガスのサービスを利用しており、私にとって最も身近で信頼できるインフラ企業だったことも、この会社を志望する後押しとなりました。入社前から説明会で現場に近い仕事の話を詳しく聞いていたため、入社後のギャップはほとんどありませんでした。現場での仕事が多いと聞いていた部署で三つほど希望を出して、そのうちの一つに所属が決まりました。

図面設計から現場調整まで工事を支える

現在、私は東京ガスネットワークの神奈川導管センター第1工事グループという部署で、日々ガス工事の管理に奔走しています。主な業務は、都市ガスの利用を希望されるお客様のもとへ、道路の下にガス管を敷設するための工程を管理することです。具体的には、営業部署から引き継いだ依頼をもとに、ガス工事の図面を設計し、施工会社へ工事を発注します。私が直接穴を掘るわけではありませんが、施工会社の方々と密にコミュニケーションを取りながら、安全かつ円滑に工事が進むよう現場をコントロールするのが私の役割です。また、役所への申請や、水道・下水といった他のインフラ業者さんとの調整など、一つの工事が完了するまでの一連のサイクルをすべて担当します。大学時代に学んだ理学の知識は、ガスという物質の特性を理解する上で役立っていますし、何より「個人で着実にタスクを進める力」や「現場に応じたスピード感のある対応力」は、今の複雑な工程管理業務を支える大きな基盤となっています。

「いつもありがとう」の言葉を糧に、ゴールへ向かう達成感

この仕事の醍醐味は、何と言っても「人」との繋がりと、目に見える「達成感」にあります。工事現場では、施工会社の方々だけでなく、近隣のお客様や通行人の方、役所の担当者など、本当に多種多様な方々と接します。時には工事に対して厳しいお声をいただくこともありますが、現場へ足を運んだ際に、近隣のお客様から「暑い中、大変なのにいつもありがとう」と温かい言葉をかけていただけることも多く、それが何よりの励みになります。現在は入社4年目となり、準備段階から長く関わるような大規模な工事を任せていただく機会も増えてきました。工事には一つひとつに必ず明確な「ゴール」があります。何もない道路の下にガス管を通し、お客様が安心してガスを使える状態にする。その積み重ねをやり遂げたときには、大きな達成感があります。

学生時代の近内さん。

今この瞬間の「挑戦」を積み重ねてほしい

高校生や大学生の皆さんの中には、将来の道がはっきりと見えず、不安を感じている方も多いかもしれません。実は、学生時代の私自身もそうでした。明確な一本の道が決まっていたわけではなく、ぼんやりとした印象しか持てていないことに焦りを感じたこともありました。

しかし、今振り返って思うのは、「自分の好き嫌いに関わらず、とにかく色々なことに挑戦してみてほしい」ということです。勉強でも、プライベートの遊びでも、学生時代に経験したことは、あとになって思わぬ形で社会人としての自分を助けてくれます。大学での幅広い学びが今の私の柔軟な思考に繋がっているように、無駄なことはありません。資格の勉強も、将来役に立つかどうかを計算するのではなく、時間がある今だからこそできる学びとして楽しんで取り組んでみてください。学生時代は失敗しても何度でもやり直せます。無理に将来を絞り込もうとせず、今興味があること、楽しいと思うことに全力でぶつかっていってください。その挑戦の先に、きっと「これを仕事にしたら楽しそうだ」と思える瞬間が待っているはずです。